藤田研究室では、修士論文や博士論文を進めるための「論文ゼミ」と、論文を書くまでのトレーニングとして取り組んでいる「読書ゼミ」を、いずれも構成員が全員参加する形で行っています。修士については、修士1年のうちは「読書ゼミ」が中心で、修士2年になってからは「論文ゼミ」に重点を置きますが、修士1年のうちから修士論文のテーマを少しずつ絞っていきます。学部生は、夏までは「読書ゼミ」に参加しながら、自分の研究テーマを探します。
「論文ゼミ」では、学生各自が自分の研究テーマに関するデータ収集や分析作業の進捗について発表し、指導教員や他の学生との議論を通じて、研究の方向性や内容について考えを深めていきます。教員から研究の進め方や指針について指導を仰ぐのではなく、自らの考えを如何に主張し指導教員を説得するか、その押しの強さが求められます。もちろん押しだけが強くてもダメで、周到な用意をもってゼミに挑む必要があります。
「読書ゼミ」は、課題とする論文や著作を読解するもので、その本の内容を読み取るのはもとより、著者がどのようにして自らの考えを組み立てているのか、論の構成のしかたを理解することにも主眼を置き、修士論文を書く上で要求されるこの構成力を養います。取り扱う本のテーマは、建築や都市に関するもののほか、歴史学や社会学関係の著作にも及び、一般に販売されている書籍や、建築や都市の歴史に関する学術論文(日本建築学会計画系論文集掲載論文など)も扱います。
<読書ゼミ使用文献>
2016年-2021年
渡辺裕『歌う国民―唱歌、校歌、うたごえ』、中公新書、2010
稲垣栄三『日本の近代建築 [その成立過程]上下巻』、 SD選書、1979(再版)
藤森照信『日本の近代建築』、岩波新書、
村松貞次郎『日本近代建築の歴史』、NHKブックス、1977
篠野志郎ほか『カフカース─2つの文明が交差する境界』、彩流社、2006
吉見俊哉『都市のドラマトゥルギー』、河出書房新社、2008
平井聖『日本住宅の歴史』、NHKブックス